⑦損害賠償および損害賠償額の特約
相手方に債務不履行等があり、債権者が損害を被った場合には
相手方に損害賠償を請求することができます。
その際の損害賠償の範囲について、民法416条では、その債務
不履行によって通常債権者の被るであろう通常損害および当事者
の予想しまたは予想の可能であった特別損害としています。
しかしながらこの規定だけでは実際問題として「ではこのケースでは
いくらになるのか?」と賠償範囲を決めることは困難であり、きちんと
最初から賠償額を決めておきたい場合は、民法420条の規定に基づき
損害賠償額の予定(当事者間で予め賠償すべき額として定めた額)の
条項を契約書上に定めることができます。
この額は、利息制限法などの特別法や公序良俗に反しない限り(この
辺の解釈が難しいところですが)かなり高額に定めることもできます。
(文例)
(損害賠償)
買主および売主は、相手方の本契約または個別契約の違反により
損害を被ったときは、相手方に対し、この賠償を請求できる。
(損害賠償額)
買主が代金の支払を怠ったときは、買主は売主に対して支払期日
の翌日から支払日までの年3割の割合による損害金を支払うものとする。
(違約金)
売主が商品の納入日までに納入を怠ったときは売主は買主に対して
金○○万円の損害金を支払う。
なお、上記の「違約金」を定める場合になかなか具体的な固定金額を
契約締結時に合意するのは難しいのでよく、「受託会社に支払われた合計額を
上限額とする」などと定める場合が多いです。しかしこれは、一度も支払いが
なされていない内に損害が発生した場合は、一切損害賠償がなされない、という
こともあり得るので注意が必要となります。
損害賠償の特約をするケースとして大体下記のようなケースがあります。
・支払遅延による損害
・契約変更・解除による損害
・納入遅延による損害
・支給品不良による損害
・支給品、貸与品滅失による損害
・不良品発生による損害
・製造物責任に起因する損害
・知的財産権侵害による損害
・秘密情報漏洩による損害
なかなか、契約締結の時点で損害賠償額を決めてしまうというのは
難しいことかもしれませんが、もし状況により、決めてしまうことが
可能であれば、両当事者にとって支払予想額が想定できるという
のは大きなメリットであると思います。
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