⑤期限の利益の喪失
例えば、商品を受け取った買主の代金支払期限が、受取日より起算して
30日を経過する日まで、となっていたとします。これは別の言い方をする
と買主は商品を既に手に入れているのにもかかわらず30日間は支払
をしなくても良い権利(=期限の利益)を持っている、ということができます。
ところがもし仮に、買主が破産宣告を受けるようなことになった場合、それを
知った売主としてはどう思うでしょうか?
とても支払期限(期限の利益30日)まで悠長に待っていられないのですぐに
でも債権回収をしたいはずです。
そこで、あらかじめ契約の中で期限の利益を喪失する特約を定めておき、
破産、不渡り、民事再生法の適用申請等の買手の信用状態が悪化した
ようなケースにおいて支払期限まで待たずしてすぐに回収を図るようにように
しておくことがよく行われます。
(文例)
(期限の利益の喪失)
買主または売主は下記の一(倒産、不渡り、民事再生法申請等)
にでも該当した場合は、当然に期限の利益を喪失し、ただちに
相手方に対して債務を弁済しなければならない。
★売主の立場としてこの条項を入れられるかどうかは、相手方の信用問題
や力関係および支払条件等、色々な要因がからんでくると思います。ですが
基本的には、「どの契約書にも一般的にある条項ですので。」と契約書に
できるだけ、記述するように交渉しましょう。買主側からこれを入れることを
合理的に反論できる理由はあまりないはずです。
★なお実務上、相手方が倒産や民事再生法申請の状況に陥ったときの回収
のやり方としては、「期限の利益を喪失したのだから直ちに現金で払って
ください。」というよりも、次にご説明する相殺の手段により回収を図るケース
が多いようです。
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