■期限の利益の喪失
例えば、商品を受け取った買主の代金支払期限が、受取日より
起算して30日を経過する日まで、となっていたとします。
これは別の言い方をすると買主は商品を既に手に入れている
のにもかかわらず30日間は支払をしなくても良い権利(=期限
の利益) を持っている、ということができます。
ところがもし仮に、買主が破産宣告を受けるようなことになった場合、
それを知った売主としてはどう思うでしょうか?とても支払期限(期限
の利益30日)まで悠長に待っていられないのでしょう。
すぐにでも債権回収をしたいはずです。
そこで、あらかじめ契約の中で期限の利益を喪失する特約を定めて
おき、破産、不渡り、民事再生法の適用申請等の買手の信用状態が
悪化したようなケースにおいて支払期限まで待たずしてすぐに回収を
図るようにようにしておく ことがよく行われます。
・第○○条(期限の利益の喪失)
買主または売主は下記の一にでも該当した場合は、当然に期限
の利益を喪失し、ただちに相手方に対して債務を弁済しなければ
ならない。
なお実務上、相手方が倒産や民事再生法申請の状況に陥ったときの
回収のやり方としては、「期限の利益を喪失したのだから直ちに現金で
払ってください。」というよりも、次にご説明する相殺の手段により回収を
図るケースが多いようです。