■契約書の名義人
商取引における契約書の名義は、会社の契約であれば原則としてその会社を
代表する権限を持つ人(例えば代表取締役社長など)の名義とします。
しかし現実には、会社の規模が大きい場合などにはいちいち代表取締役の
印鑑を使うのも大変なので、その会社の内部規定により権限を委任された
支店長や部長などの名義で契約する場合も多いと思われます。
しかしながら取引先担当者が権限を超えて契約を結ぶこともありえるので
疑問がある場合は相手方に職務権限規程の写しや代表取締役が作成した
委任状などの提出を併せて要求しておくべきでしょう。
参考)代表資格及びその確認方法
法人の種類 | 代表資格 | 確認の方法 |
株式会社 | 代表取締役 | 法人登記簿、資格証明書等 |
有限会社 |
取締役 (代表取締役の定めがあるときは代表取締役) |
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合資会社 |
無限責任社員 (代表社員の定めがある場合は代表社員) |
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合名会社 |
業務執行社員 (代表社員の定めがある場合は代表社員) |
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社団法人 |
理事 |
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財団法人 | 理事 | |
学校法人 | 理事 | |
医療法人 | 理事 | |
社会福祉法人 | 理事 | |
宗教法人 | 代表役員 |
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中小企業協同組合 | 代表理事 |
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消費生活共同組合 | 代表理事 |
参考2)表見代理の規定(民法第110条)
代理権のない者が本人に成り代わってした代理行為は無効です。
しかしながら無理からぬ事情があって、相手方が代理権のない者
を代理権があると誤信した場合は、本人は当該代理行為について
無効を主張できなくなり、責任を取らなければなりません。これを表見
代理といいます。
例えば、皆さんがAさんという人に過去において代理権を与えて契約締結等
を行わせていたような経緯があり、現在ではそのようなことはやめているの
にもかかわらず、Aさんが第3者のBさんと皆さんの代理人として契約締結等
を行ってしまったようなケースにおいては、もしBさんが過去の経緯をよく知って
おり、現在においても依然としてAさんが皆さんの代理人と信じて契約締結をして
しまったような場合においては皆さんは当該契約の無効を主張できなくなる可能性
があります。