契約書に記載する内容は契約書ごとに異なります。

ここでは一般的な記載事項を中心に契約締結する際の留意点も若干含めて解説します。

 

-目次-

①契約の履行期

②所有権と危険負担

③契約不適合責任

④期限の利益の喪失

⑤相殺

⑥損害賠償および損害賠償額の特約

⑦契約解除(無催告解除)

⑧契約期間

⑨裁判管轄

 

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■所有権と危険負担

商品引渡の際の危険負担と所有権について、その売主から買主へ

の移転時期が同じであることが多いことから両者は同じことを意味

していると思っている人がよくいますが、それは間違いです。

両者の違いを簡単に書くと下記のようになります。


 
所有権とは?

物を支配する権利のことをいい、法律が許せばいかようにでも

利用(使用・処分)できる権利のことをいいます。

例えば売主から買主への商品の引渡は完了しているが、

買主の支払が完了するまでは依然として所有権は売主に

残る(所有権留保といいます)ような契約になっているとします。

この場合、買主の代金不払や手形不渡になったようなときには、

売主は留保している所有権に基づいて一旦買主に引き渡した

製品の取り戻しをすることができる、といったようなことが起こり

ます。


危険負担とは?

例えば、買主の発注後、商品引渡、受入検査の過程において

売主・買主のいずれの過失にもよらず商品が燃えてしまった

ような場合に売主と買主のどちらが泣きを見るか?という点に

ついての考え方を言います。


具体的には、売主の債務(=商品引渡義務)は当然消滅して

しまうが、この債務と対価関係に立つ代金支払債務について

売主、買主のどちらが負担するのか?簡単に言うと、「売主

は引き渡していない商品の代金をもらえるのか?」という問題

になります。

これについては法律上、下記の2つの考え方があります。

 ■危険負担債務者主義(民法第536条)
  代金債務は消滅する。よって生じた危険(商品の消滅という損害)

  負担は債務者(売主)にかかることになる。


 ■危険負担債権者主義(民法第534条)
  代金債務は消滅しない。よって依然として売主は買主に代金支払

  請求ができるので生じた危険の負担は債権者(買主)にかかる

  ことになる。

民法は、特定物に関する商品の権利移転契約(通常の売買契約は

ほとんどこれに該当すると言って良い)では債権者主義の立場を取り、

それ以外では債務者主義の立場を取っています。

しかし、危険負担の規定は強行規定ではないことから、実務の上では

売主の立場にいるときには、例えば「商品の引渡後、受入検査までに

火災等の事故により商品に生じた損害は買主の負担とする。」というように

契約条件を変更し、実質的には商品引渡後は債権者主義の考え方に従い

買主が危険負担するように交渉するのが普通です。
  
以上のようなことから考えると、実務の上では(売主の立場からいえば)

所有権移転は遅ければ遅いほど、また危険負担の移転は早ければ早い

ほど、有利な契約条件になるということが言えます。

 

よって、相手方の信用度、取引関係、商品の特性等にもよりますが、契約

交渉上できるだけ自分に有利な条件を提示して交渉を進めて行くのが

通常です。(下記例文参照)

「売主有利の条文」
  商品の所有権は買主が商品の代金を支払ったときに売主から買主に

  移転し、危険負担は商品の引渡完了の時に売主から買主に移転する。

「買主有利の条文」

  商品の所有権は商品の納入時に売主から買主に移転し、危険負担は

  商品の受入検査完了の時に売主から買主に移転する。

「両者平等と考えられる条文」

  商品の所有権は受入検査完了時に売主から買主に移転し、危険負担は

  商品の納入の時に売主から買主に移転する。

 

■契約不適合責任(カシタンポセキニン)

契約不適合とは、簡単に言うと商品の不良です。

契約不適合責任とは、売買契約によって商品を購入した後、

その商品に欠陥・不具合があり、それが通常の注意をもってしても

発見できないようなものである場合に、ある一定期間内で

あれば、買主が契約解除、代金減額、追完請求および損害賠償等を

売主に請求できることを言います。

ただし、個人間取引と異なり、企業間取引など商人間の売買

については、買主は商品の受け取り後、遅滞無く検査し、瑕疵

や数量不足を売主に通知する義務が課され、それを怠った場合

は買主は契約不適合責任に基づいて契約解除、代金減額および

損害賠償請求ができないとされています。「企業なんだから

商品受入チェックなんか当然しておくべきでしょう?」という訳です。

なお、契約不適合責任を売主が負う期間は原則として商品の引渡から

民法では1年、商法では6ケ月となっています。

 

しかしあくまでも任意規定ですので、個々の商品の特性、取引形態

に応じ、補償範囲と併せて相手方と交渉し、別の期間を取り決める

ことができます。

 

 

■期限の利益の喪失

例えば、商品を受け取った買主の代金支払期限が、受取日より

起算して30日を経過する日まで、となっていたとします。

これは別の言い方をすると買主は商品を既に手に入れている

のにもかかわらず30日間は支払をしなくても良い権利(=期限

の利益) を持っている、ということができます。

ところがもし仮に、買主が破産宣告を受けるようなことになった場合、

それを知った売主としてはどう思うでしょうか?とても支払期限(期限

 

の利益30日)まで悠長に待っていられないのでしょう。

すぐにでも債権回収をしたいはずです。

そこで、あらかじめ契約の中で
期限の利益を喪失する特約を定めて

おき、破産、不渡り、民事再生法の適用申請等の買手の信用状態が

 

悪化したようなケースにおいて支払期限まで待たずしてすぐに回収を

図るようにようにしておく ことがよく行われます。

  ・第○○条(期限の利益の喪失)
    買主または売主は下記の一にでも該当した場合は、当然に期限

    の利益を喪失し、ただちに相手方に対して債務を弁済しなければ

    ならない。

なお実務上、相手方が倒産や民事再生法申請の状況に陥ったときの

回収のやり方としては、「期限の利益を喪失したのだから直ちに現金で

払ってください。」というよりも、次にご説明する相殺の手段により回収を

図るケースが多いようです。

 

■相殺

相殺
とは、例えば売主が買主に700万円の売掛金債権があり、

逆に買主も売主に対して500万円の債権を持っているような場合

 

において、その債権債務を対当額にて消滅させ、売主の債権を

差し引き200万円にすることを言います。

相殺は、広い意味では当事者間で合意のうえ、日常的に前述の

ようなことを行うことを含みますが、狭い意味では片方の当事者の

 

一方的意思表示による相殺のことを意味します。

例えば前述の例で言えば、買主が倒産したような場合に、売主の

一方的な通知により双方の売掛金債権を相殺し、最終的に差し引き

200万円に売主債権を減らすようなことを言います。


もしこの相殺が売主に認められていなければ、どうでしょう?

買主が倒産してしまったので売主に対する700万円の支払いはできない

にもかかわらず、逆に売主は支払期日が来たら500万円支払わなければ

ならず、非常に売主にとって不利です。

よってそのような不平等を避けるためにこの相殺制度があり、倒産した

取引先から売掛金を回収する有効な手段として良く利用されています。



尚、前述の例に沿って言うと、相殺する側の債権(売主債権700万円)

自働債権といい、相殺される側の債権(買主債権500万円)受働債権

と言います。

相殺を行うためには両債権が相殺され得る状態にあること相殺適状

いいます)が必要要件とされ下記の条件を満たすことが必要です。

 (A)自働債権と受働債権が存在していること。
 (B)両債権が弁済期にあること。(=支払期限が来ていること)

   但し、受働債権に関して言えば、弁済期に達していなくとも相殺する

 

   側(=売主)が弁済期以前に支払う意志(期限の利益を放棄する意志)

    があれば差し支えない。

債権回収を図る立場からすれば、契約書作成においてポイントになるのが

上記(B)です。

 

上記の例で買主が倒産したような場合は、通常、売主としては悠長に自働債権

が弁済期になるまで待ってられません(一方、前述のとおり受働債権は自分で

期限の利益を放棄することができるので問題ありません)。

従って期限の利益の喪失の特約条項を設けることにより、自働債権が弁済期

にあるかどうかにかかわらずいつでも相殺できるようにしておくことにより

スムーズな債権回収をできるようにします。

(下記例文及び④期限の利益の喪失参照)

(期限の利益の喪失)    買主または売主は下記の一にでも該当した場合は、

    当然に期限の利益を喪失し、ただちに相手方に対して

    債務を弁済しなければならない。



ただし、相殺適状であるにもかかわらず、例えば両債権が差し押さえ

や質権設定をされたものである場合等、相殺ができないケースもあります

 

ので注意が必要です。

■損害賠償および損害賠償額の特約

相手方に債務不履行等があり、債権者が損害を被った場合、

相手方に損害賠償を請求することができます。その際の損害

賠償の範囲について、民法416条では、その債務不履行によって

通常債権者の被るであろう通常損害および当事者の予想し又は

予想の可能であった特別損害としています。

 

なんのこっちゃ?って感じですよね(^^;)

 

この規定だけでは実際問題として、「ではこのケースではいくら

になるのか?」が明確でないので、きちんと最初から賠償額を

決めておきたい場合は、民法420条の規定に基づき損害賠償額

の予定(当事者間で予め賠償すべき額として定めた額)の条項を

契約書上に定めることができます。


この額は社会常識を超えない限り(またこの辺の解釈が難しいところ

ですが)かなり高額に定めることもできます。
 
 第○○条(損害賠償)
    買主および売主は、相手方の本契約または個別契約の違反に

    より損害を被ったときは、相手方に対し、この賠償を請求できる。

 第○○条(損害賠償額)
    買主が代金の支払を怠ったときは、買主は売主に対して支払期日

    の翌日から支払日までの年14.5%の割合による損害金を支払う

    ものとする。

 第○○条(違約金)
    売主が商品の納入日までに納入を怠ったときは売主は買主に対して

    金○○万円の損害金を支払う。
   
 

損害賠償の特約をするケースとして大体下記のようなケースがあります。

ケースによっては損害金の額が天文学的数値になる恐れもありますので

損が賠償額の特約をして、リスクヘッジを図るのも検討に値するでしょう。

 ・支払遅延による損害
 ・契約変更による損害
 ・納入遅延による損害
 ・支給品不良による損害
 ・支給品、貸与品滅失による損害
 ・不良品発生による損害
 ・製造物責任に起因する損害
 ・知的財産権侵害による損害
 ・秘密情報漏洩による損害

■契約解除(無催告解除)

  契約の原則に従えば、相手方に契約不履行や破産宣告等

  があってもいきなり解除することはできません。

 

  まず相手に催告(債務の履行を請求すること)をしなければ

  ならないことになっています。この催告は通常、内容証明郵便

  によって行いますが、相手方の契約違反等に対してこのような

  手続をしなければ契約の解除もできないというのは非常に面倒です。

 

  そこであらかじめ契約書上に下記のような無催告解除の特約を

  入れておき、催告の手続を踏まなくても直ちに契約を解除できるよう

  にしておきます。(そうは言っても実務上はやはり催告をすることが

  多いと思われますが)

 ・第○○条(契約解除)
   甲または乙は相手方が下記の一にでも該当した場合は何ら催告を

   要せず直ちに本契約および個別契約を解除できる。
 

■契約期間

  契約を結ぶときは一般にその存続期間(始期〜終期)を定める

  ので、その期間が満了するとその契約は当然に終了します。

  また契約の効力は通常その契約の成立(締結)と同時に発生

  するのが一般的ですが、次のような例外もあります。

 ①約定によって効力発生の時期を将来のある時期に延ばすケース。
  ⇒本契約は政府の許可が下りた日より有効とする。

  ⇒本契約は本契約締結日に拘らず○月○日(契約書月日と異なる日付)
    より有効とする。

   (NDAなどですでに契約締結前に秘密情報開示がされているケース等)

  ※よく、契約書日付そのものをバックデートする人もいますが、トラブルの

   元になります。 できるだけ契約書の日付は事実通り両者が合意して

   署名捺印/記名押印した日にしましょう。

 

 ②期間が満了してもさらに契約を継続する必要のあるときに、

  あらかじめ「自動更新条項」を入れておき再契約をする手間を

  省くケース。   ⇒本契約の有効期間は契約締結日から1年間とする。ただし、

    期間満了の1ケ月前までに甲または乙から書面による解約

    の申し出がないときは、本契約と同一条件でさらに1年間継続し、

    以後も同様とする。

  ※自動更新の欠点としては①契約を途中で打ち切りたいと思った場合に

   契約解除するのが難しい。②何もしなくても自動更新をしてしまうので

   当契約書自体の存在が忘れ去られてしまう可能性がある、等が考えら

   れますので注意が必要です。

 

■裁判管轄

契約条項につき紛争が生じた場合、最終的には裁判所に「訴え」を

提起することになります。しかし裁判所の管轄は、原則として訴えら

れた者、多くは契約違反をした者の住所地を管轄する裁判所にする

旨が法律で規定されています。(民事訴訟法第4条)

 

そのためにたとえ訴えたとしても相手方が遠隔地に住んでいる場合

ですと法廷のあるたびにわざわざ相手方の住所を管轄する裁判所

まで多大な手間と費用をかけて出向くことになります。そのため、

このような不都合を防ぐため、契約締結の際に自分にとって便利な

裁判所を管轄裁判所とする旨を契約書に入れておくことがよく行わ

れます。

 ・第○○条(裁判所の合意管轄)
   本契約に関し、紛争が生じた場合、東京地方裁判所を第一審

   裁判所とする。
 

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